X-Planeヘリコプターのデバイス設定
X-Plane とMSFSのデバイス設定の違い
私はこれまでFS2004やFSX,MSFSとMicrosoftの製品で固定翼機のデバイス設定ばかりしてきたので,設定に関して入力曲線をいじればなんとかなるとの先入観があったのだと思います。
MSFSの入力曲線は反応性と安定性を一つの設定曲線で対応しているようです。
一方,X-Plane11では,デバイスの反応性,安定性,反応曲線(入力曲線)という3つの要素が関係し,X-Plane12ではデバイスの反応性と反応曲線(入力曲線)という2つの要素が関係します。
特にデバイスの反応曲線は,MSFSの入力曲線とは違って個々のデバイスの反応を細かく設定するだけの物になっています。
反応性を抑制する係数
X-Planeには,もう一つ反応性を抑制する“HeliTrim_sensitivity”という重要な内部係数があります。
この係数は,”Helitrim.lua”のなかで紹介されており,”FlyWithLua”でコントロールする係数です。
この係数を1.0(デフォルト)~0.2 まで変更することにより,デバイスの反応度を抑制することができます。
この係数を0.5以下にすることで,じゃじゃ馬のようなX-Planeのサイクリックやテールローターの働きを柔らかくすることができます。
イメージとしては,短いジョイスティックを実物のサイクリックのように仮想で長くするという感じです。
ベテランでは反応性の良い0.3が適しているようですが,操縦が下手くそな私には最低の0.2が最適でした。
使い方は簡単で,添付のzipファイルを展開し出来上がったluaスクリプトを”FlyWithLua”の”script”フォルダーに入れるだけです。
スクリプトは下の1行だけです。
この設定では鈍すぎるとお考えの場合には,メモ帳で編集し0.2の設定を0.1刻みで順次0.5まで上げてみてください。
X-Planeを動かしている途中で変更したくなったら,マルチデスクトップでスクリプトを編集し,”FlyWithLua”メニューで”script”を再読込すれば変更できます。
FPSの確保
ヘリコプターの敏感な挙動を画面から読み取るためにはFPS30以上出来れば40位ほしいところです。
FPSを確保するためには,X-Planeのマニュアルに従い自分のインフラに適したグラフィック設定にすることしか対策はありませんが,FPSを確保するため動的に設定を変更する3jFPS.luaスクリプトの利用も有効です。
例外として,FPSを高くするために”Flight models per frame”を最低の”2”にすると離陸前の機体が地上で震えたり跳びはねたりしている状態になっているとき,これを”4”にすることで震えが収まりFPSが5程度向上することがあります。
具体的な各デバイスの設定
サイクリックの選定と設定
サイクリックの選定
高級なフルサイズのヘリデバイスを持っている人以外では,通常はジョイスティックをサイクリックに使います。
旅客機をはじめとする固定翼機に適したジョイスティックは,一般的に動きが重めです。
私の持っている”TCA Sidestick Airbus Edition”では,重すぎてサイクリックの微妙な動きに対応できません。
もう一つ持っているジョイスティックは,”Saitek Cyborg 3D”で動きが軽くサイクリックに適しており,スライダーもコレクティブに使えるようレバー付きです。
このデバイスは,Flingtak1さんが使っておられる動画を拝見し,使い勝手が良さそうなので新古品をフリマで入手しました。
Helisimmer.comでは,バネを効かなくするという荒技を紹介していますが,私は古いMSFSのサイドワインダージョイスティックで試したところ,Helitrim.luaのオートパイロットの場合でもスティックを離すことができず,かなり疲れることがわかったのでおすすめしません。
なお現在入手できるジョイスティックのうちHelisimmer.comで入手しやすいと推薦しているのは”Thrustsmaster T16000M“でした。
サイクリックの設定
サイクリックの設定については,さまざまな場でX-Plane11の場合は
”Response:0%-Stability:0%”が良いという意見を読みました。
一方で“100%-100%”も良いと言う意見もありました。
この二つは真反対のことを言っているようですが,調べていくなかで一部に共通点があることがわかりました。
その共通点とは安定を目指すという点で,”100%-100%”は中立部分の安定度を高くし,”0%-0%”は反応度を高くしてして細かい操作で中立部を安定させたいというものです。
そして先に説明した“HeliTrim_sensitivity”を併用することで,レスポンスの良い”0%-0%”設定でも中立点付近で”100%-100%”の様な安定性を実現できます。
さまざまな数値を変化させた結果では,サイクリックの設定は“HeliTrim_sensitivity=0.2”と”0%-0%”の設定を併用するというのが最適でした。
X-Plane12ではSensitivityの設定しかないので”0%”にしています。
最近いろいろな機体で飛行しているとき,飛行中の機体が震える現象を観察しました。
ジョイスティックのカーブを設定する画面で,ジョイスティックのノイズらしいと見当を付けました。
これを解消するためにStability:20%の設定を試したところ震える現象が収まりました。
これは私個人の事情ですので,読者の方の持っておられるジョイスティックで観察して設定するかどうかをお試し下さい。
デバイス特有の設定
サイクリックについては,デバイス特有の設定は行っていませんが,舵を敏感に姿勢に反映させたいため直線設定を行っています。
テールローターのデバイス設定
一般的な設定
ホバリングの大敵は,テールローターの過度の反応です。
初心者は,機体がくるくる回るのを止めようとしてペダルを踏むとオーバーアクションでひっくり返るという目にあいます。
これへの対応ですが,まず先に紹介した“HeliTrim_sensitivity=0.2”で抑えます。
つぎに,X-Plane11ではControl Sensitivityを”0%-0%”,X-Plane12では”0%”にします。
しかこれだけではペダルを親指の先で押すという,変則的で微妙な操作をやめることができません。
デバイス特有の設定
ここから先は,手持ちのデバイス特有の設定になりますが,私の持っている”TCA Pedal”は,中立点付近の入力と出力のバランスが悪く,固定翼機でもオーバーアクションになります。
固定翼機では”50%-50%”か”100%”で対応できますが,ヘリコプターではX-Plane任せではしっかりとした設定ができません。
そこで,PichやRollと同じようにSENSITIVEを0%でX-Planeが行う勝手な変更をなくし,かつペダルの入力に対する変位を少なくするよう設定することにしました。
いろいろ試した結果,”TCA Pedal”では中央にノイズキャンセルのために少しの遊びを持たせたうえで,最高の変位度でも50%の変位になるよう下の画像のようRESPONSE CURVEにしました。
X-Plane11と12では,扱い方が異なるためRESPONSE CURVEも異なります。
X-Plane11では
という設定です。
これは最大値を1.0にしないと,完全にトルクを消しきれなかったためです。
一方X-Plane12では,単純に
この設定でペダルの中立点付近で生じる過大出力を無視することが出来るので,ペダルにしっかりと足をのせてホバリングできる安定した操縦ができます。
なおデバイス反応曲線の設定は”TCA Pedal”と違うペダルでは,別の最適設定を探す必要があります。
以上長々とした説明にお付き合いいただきありがとうございました。