忘れられた滑走路を補うプロジェクト(その16)
天竜川下流にある木々に囲まれた滑空場
浜北滑空場
天竜川が第二東名高速道路と交差する浜北区上島地先の河川敷に,低い木々に囲まれた浜北滑空場があります。
ここは浜北スカイスポーツ連盟が管理運営しており,遠州グライダークラブとヤマハソアリングクラブが活発にフライトを行っています。
またULPの飛行やスカイスポーツ活動の場としてさまざまな活動がおこなわれています。

天竜川といえば舟下りが有名ですが,浜北滑空場があるのは舟下りとは縁のない下流域です。
そうはいっても中州の発達した天竜川下流域は上空から結構楽しめる美しさを持っています。
浜北滑空場は中州の発達が始まるところにあるので,ここから海に向かって飛行すれば中州の風景を楽しむことができます。
浜北滑空場のチャートはここからダウンロードできます。
浜北滑空場シーナリー
チャートにあるランドマークは,高圧電線と大きな工場群です。
高圧電線はデフォルトシ-ナリーで表示できますが,工場群を表示するにはX-Asiaを利用する必要があります。
ここのシーナリーは,デフォルトメッシュ用とOrtho4XPデータ用の2種類作成しました。
木々に囲まれている滑空場ですので,2つのシーナリーの森の部分は共通です。
デフォルトメッシュ用は衛星写真の良いものがなくここが木々に囲まれている場所だったので草地データを利用しました。
Ortho4XPデータには河川敷に凸部があって離着陸に支障があるため,MUXPで平坦化しました。
また天竜川中州を表示するためのOrtho4XPデータの設定についても説明します。
シーナリーを表示するために必要なライブラリーは次のとおりです。
OpenSeceneryX
The handy Object Library
SAM_Library
なお先に書いたように工場群を表示するためにX-Asiaの利用をお勧めします。
なお浜北滑空場は,デフォルトやGatewayにもない忘れられた滑走路です。
シーナリーのダウンロードとインストール
ダウンロード
浜北滑空場を再現するためのデータをひとまとめにした”HamakitaGP.7z”ファイルをここからダウンロードしてください。
インストール
ダウンロードした”HamakitaGP.7z“ファイルを適当な場所で展開します。
展開後のフォルダー内にあるデータは,次のとおりです。
+34+137 airport_XRJGP6 1.0.muxp:Ortho4XPデータ用MUXPデータ
Ortho4XP_+34+137.cfg:Ortho4XPデータを作成する時に使うcfgデータファイル
デフォルトメッシュ用シーナリー
XRJGP6 HamakitaGPをX-Plane11のCustom Sceneryフォルダー内にコピーします。
Ortho4XPデータ用シーナリー
まず”XRJGP6 HamakitaGP_ortho“フォルダーをX-Plane11のCustom Sceneryフォルダー内にコピーします。
つぎにOrtho4XPデータですが,既に日本のOrtho4XPデータを作成されている方も,天竜川の中州を再現するために,+34+137タイルのちょっとした修正作業が必要です。
フォトシーナリーの作成と調整
+34+137タイルを日本のフォトシーナリーの作り方でZL17,”BI”データで作成しているとして説明します。
新しく作成される方は,データを作成されるときにcfgデータ画面のとおりに入力していただくと中州を表示できるOrtho4XPデータが作成できます。
まず展開してできた”Ortho4XP_+34+137.cfg“ファイルを”zOrtho4XP_+34+137“フォルダー内に上書きコピーします。
Ortho4XPをスタートし,冒頭のUI画面でタイル+34+137タイル,ZL17,”BI”データ,元の+37+137タイルデータのあるフォルダーを指定します。
工具のアイコンをクリックし,Configウインドウを表示します。
左下の”Load Tile Cfg“をクリックし,Config画面が下のようになっていることを確認します。
つぎに浜北滑空場は,OSMの飛行場に登録されていないので,下の画面のようにズームレベル調整で滑空場をZL19指定します。
Save zone,Make GeoTifs,Extract Mesh,Applyの順にボタンをクリックします。
ここまでできたら,冒頭UI画面に戻り”All in one“をクリックすれば,修正されたOrtho4XPデータが作成されます。
つぎにMUXPデータで地形修正を行います。
作業方法は,つぎの記事を参考に行ってください。
これでフォトシーナリーの作成・修正作業は終了です。
Ortho4XPデータのインストール方法については,過去の記事を参考にしてください。
X-Plane11での風景
これからご紹介する画像は,X-AsiaとGlobalforestを利用して表示したものであることをお断りしておきます。
デフォルトメッシュによる浜北滑空場
草地と低木の森を表示するために,季節変化に対応している”SAM Library”を使いました。
滑走路部分だけをデフォルトの草地滑走路で表示しています。
滑走路の全景です。
高圧線の電線は,電線を明確化するアドオンを利用しています。
離陸滑走の開始地点にはX-winchを使ったオブジェクトのほかに,四角いテント,グライダーとトレーラーを設置しています。
吹き流しの場所は写真によるともっと土手寄りのようですが,吹き流しはどこにでも設置できるのでお許しください。
Ortho4XPデータ上の浜北滑空場
滑空場の全景です。
森のデータが広い範囲にあるので,中州以外はデフォルトメッシュとあまり変わらないような感じです。
地形修正効果がよくわかるのが,離陸開始地点です。
滑走路右側の土手が再現されています。
まとめ
私は浜北滑空場が単純な草地の滑空場だと考えていました。
けれども浜北スカイスポーツ連盟のページにある写真を見ると木々に囲まれた滑空場だったので,オブジェクトが少ないにもかかわらず思いのほか手間のかかったシーナリーでした。
私は海に至る天竜川の中州を楽しむために,浜北滑空場から下流の川の流域をZL19のタイルで作成し直しました。
これで結構楽しめるシーナリーになったと考えています。
Enjoy Flight!
この記事で紹介しているシーナリーは,次の製品のオンラインバージョンアップ版11.55で動作確認しています。
コメント
私の作った地形の再現にこだわっただけの稚拙なシーナリーを活用していただきうれしく思います。
小さな飛行場は,周辺の方々にとって身近な存在なので,フライトシミュレーターにないのはさみしいと考えて作成していた物です。
X-Planeは,海外でも実地飛行前の訓練に利用されているとのことですので,貴クラブでもお役にたてば,古希の身にとってうれしいものです。
さて,連絡につきましてはスパムメールやダイレクトメール対策のためトップページの一番下に「管理者への連絡はこちらへ」というリンクに画像形式でメールアドレスを公開しておりますので,よろしくお願いいたします。
浜北滑空場を管理運営しています浜松市体育協会です。
この様な素晴らしいシーナリーを作成頂き誠にありがとうございました。
関係者一同大変な驚きと共に感度しております。
また、このデータのおかげで、浜松でのグライダー訓練が、インドアシュミレータ訓練まで伴う様になり、激しく高効率なものに進化できました。
もしよろしければ、もっと色々とメールで会話させていただけないでしょうか?
XP12対応であったり、航空写真などの供出であったり、ご相談させて頂きたいと、ねがっております。
重ねまして、本当にこの様な素晴らしいデータ公開ありがとうございました。