新しいVFRライブラリー”X-Asia”を使いこなす方法
w2xp-asiaの上位互換となるX-Asia
X-Asiaは,X-Europeを公開しているSimheavenがアジア圏用に作成したVFRライブラリーです。
X-Europeの技術やデータを使って,アジア圏の地上の建物やランドマーク,植生や道路まで網羅したライブラリーです。
X-Plane10向けにw2xp-asiaが公開されていますが,X-AsiaはX-Plane11向けの上位互換データです。
このライブラリーはフォトシーナリーとの整合をとるための設定があり,Ortho4XPで作ったメッシュデータと相性が良くなっています。
しかし日本には”Japan pro”という日本向けのライブラリーがあるため,デフォルトシーナリーを利用したシーナリーとの齟齬が発生する可能性があるので,私自身が導入をためらっていました。
これらの点について調べた結果,導入に問題がないことがわかりました。
そして東京湾岸と私の地元広島市でX-Asiaを導入するために調べたことで注意することについてまとめました。
X-Asiaのダウンロードとインストール
ダウンロード
X-Asiaは,Simheavenのページからダウンロードします。
X-Europeの植生データを利用するので,X-Europeを導入していない場合には”Vegetation Library“を別途導入する必要があります。
インストール
ダウンロードしたデータを適当な場所で展開します。
出来上がった次の6つのフォルダーをX-Plane11のCustom Sceneryフォルダー内にコピーすれば導入作業は終了です。
simHeaven_X-Asia-3-extras
simHeaven_X-Asia-4-scenery
simHeaven_X-Asia-5-forests
simHeaven_X-Asia-6-autogen
simHeaven_X-Asia-7-network
なおこのライブラリーはX-Plane10向けに作られたw2xpデータの上位互換になっているので,w2xp-AsiaはCommunityフォルダーから削除するか,無効化しておいてください。
そうしなければw2xpのデータは表示されないだけでなくX-Plane11のパフォーマンス低下を招きます。
X-Plane11での表示
日本の風景を表示する上で役に立つライブラリーが”Japan pro“です。
首都圏では”Japan pro”だけでもそれなりの表示ができます。
けれども”Japan pro”だけでは,日本の首都圏以外の市街地をそれらしく表示することができません。
これを補っていたのがw2xp-asiaでした。
新しいX-Asiaを使うと,建物の質感や形状がw2xp-asiaに比べてリアルになります。
X-AsiaにはOrtho4XPデータを作る時に併せて作成するオーバーレイデータが含まれているので,X-Asiaを使う時にはオーバーレイデータのインストールは不要になります。
首都圏の建物表示にも問題がありません。
また高速道路の標識や新幹線の表示も問題ありません。
そして各地のVFR用ランドマークが追加されます。
“Japan pro”との競合と調整方法
simHeaven_X-Asia-1-vfrフォルダー内にある”list_all_objects.txt”に記述されている日本国内のランドマークは次のとおりです。
リストには収納されているフォルダーも記載されています。
Japan\Hiroshima\Peace_Memorial.obj
Japan\Kyoto\kyoto_cathedral.obj
Japan\Kyoto\kyoto_church.obj
Japan\Kyoto\kyoto_tower_hotel.obj
Japan\Nagasaki\domtoren.obj
Japan\Nagasaki\hotel_nagasaki.obj
Japan\Nagasaki\hotel_nikko.obj
Japan\Nagoya\nagoya_city_hall.obj
Japan\Nagoya\nagoya_dome.obj
Japan\Nagoya\nippon_geisha_hall.obj
Japan\Oita\oita_stadium.obj
Japan\Osaka\osaka_dome.obj
Japan\Osaka\prefectural_nakanoshima_library.obj
Japan\Saitama\saitama_stadium.obj
Japan\Tokyo\building_in_shinjuku.obj
Japan\Tokyo\eddificio.obj
Japan\Tokyo\edo_tokyo_museum.obj
Japan\Tokyo\jameel_general_trading.obj
Japan\Tokyo\sony_city.obj
Japan\Tokyo\the_tokyo_tower.obj
Japan\Tokyo\tokjo_city_hall.obj
Japan\Tokyo\tokyo-central-postoffice_01.obj
Japan\Tokyo\tokyo_skytree_town.obj
Japan\Tokyo\tokyo_time_tower.obj
Japan\Tokyo\Ersatz\tokyo_skytree_town.obj
Japan\Yokohama\international_stadium.obj
Japan\Yokohama\yokohama_tower.obj
これらの内,東京都区内で特に目立つランドマークのうち”Japan pro”と競合するのが東京タワーと東京スカイツリーです。
先の画像で見ると,すこしぼやけているかなと思える位ですがスッキリとはしていません。
これを解決するには,オブジェクトを“無”のデータに置き換えます。
利用するのは”Xroads”に含まれている”blank.obj“です。
これを該当するオブジェクトのフォルダーにコピーします。
元データの末尾に”.org“を追加して無効化します。
コピーした”blank.obj”の名前を消すオブジェクトデータのものに変更すれば作業は終了です。
次の画像は,東京タワーと東京スカイツリーを変更したところです。
高速道路データの競合解消
私の住んでいる広島市には,Sir.Jakeさんが作られた1992年の広島西飛行場データがあります。
広島西飛行場の北側には,広島高速道路があるので広島西飛行場データはこの高速道路を修正するデータが入っています。
けれども,X-Asiaで定義された高速道路はデフォルトシーナリーのものとは異なっているので,除外区域の定義が合わないために川の上に高速道路が表示されてしまいます。
このようなことは特殊な事情の時だけですが,X-Asiaの”simHeaven_X-Asia-7-network”内にある該当区域のdsfファイルを無効化することで対応できます。
また,X-Asiaの”simHeaven_X-Asia-7-network”は,道路上に生える木々を消去するためのデータですので飛行する場所に問題がないのであれば,フォルダーそのものを無効化することでも対応できます。
Xroardの利用上の注意
Xroadsで定義した道路表示を隠す機能は,X-Asiaでも利用することができます。
この場合,”Xroads”ライブラリーのScenery packs.iniファイル内での定義位置を“simHeaven_X-Asia”の定義位置よりも上位に置いておく必要があります。
アルファベット順にならべ変えると逆転してしまうので,こういうときにはあらかじめ作った”Xroads”ライブラリーの名前を変えて保存する方法があります。
日本であれば”00_Japan_Xroads”という名前にしておけば,Scenery packs.iniファイルを作り替えたとき定義は最上位になります。
その他の課題
日本の一般住宅を表示したとき,どうしても西洋風の住宅になってしまいます。
ギリシャのライブラリーを調べたときに判ったのですが,日本国内を区域指定して住宅データだけを別途指定したデータに置き換えれば和風の住宅街を演出できるのではないかと考えています。
まとめ
X-Asiaだけでなく,その他の大陸でもライブラリーが公開されています。
一方で,都市VFRデータについては,その区域のX-Europeなどのデータを無効化して利用することを推奨している物もあります。
X-AsiaをはじめとしたVFRシーナリーは,あくまでも100点満点の70点あたりをねらったシーナリーだと理解して利用しましょう。
最後になりましたが,X-AsiaはSAM Seasonsを利用した季節を反映する植生データを持っているので,”Japan pro”と併用することでかなり使えるVFRシーナリーであることにまちがいありません。
ぜひ利用してみてください。
Enjoy Flight!
この記事で紹介しているシーナリーは,次の製品のオンラインバージョンアップ版11.55で動作確認しています。
コメント
w2xp-Asiaのままだったのですが、まずは上位X-Asiaの導入から始めてみます。
いろいろと出てくるので、整合性に悩みますね。
X-Plane12になるとどうなるのやら、その分苦労の後の楽しみも増えますが・・・