Windowsのフォルダー操作機能をうまく使ったX-Planeのシーナリー管理アプリ
多くのシーナリーを管理するアプリ
X-Plane11のシーナリーを国別や空港別に管理したくなることがあります。
とくにシーナリーを増やす度にScenery packs.iniファイルの編集をしたりする必要が出てくるので面倒です。
また,フォトシーナリーを作ってXroadで道路を透明化したいとき,ショートカットではXroadが追跡してくれないという課題もありました。
またシーナリーを切り替えて使いたいときは,Scenery packs.iniファイルの編集は必須になります。
ある程度グループに分類して一括で切替ができたら便利だなと考えていました。
MSFSでは,”MSFS_AddonsLinker“というWindowsのシンボリックリンクを使ってシーナリーや塗装データフォルダーを管理するアプリがありますが,X-Plane11にはシンボリックリンクによく似たジャンクションというちょっと前からある仕組みをつかったアプリがあります。
Windowsのシンボリックリンクとジャンクションとハードリンクの違いについては,くわしいページがあるので読んで見てください。
ユーザーにとっては,シンボリックリンクは管理者権限が必要で,ジャンクションは必要でないというところが大きな違いです。
X-Plane11のシーナリーやライブラリーフォルダーを管理できる”SceneManager”
少し前からからあるX-Plane用シーナリーマネージメントアプリ
“SceneManager“は,X-Plane10のころからあるアプリケーションのようです。
2021年2月時点の最新版はVer2.2.0で,”peyremorte.frのTools for X-Plane“というフランスのページからダウンロードできます。
フランス語版と英語版があり,マニュアルもそれぞれの言語のものがzipファイルに入っています。
マニュアルはあまり詳しい説明はありませんが,操作を誤ることはないと思います。
機能としては,次のとおりです。
シーナリーフォルダーのグループ化と登録・解除
フォルダーの有効・無効の切替
“SceneManager”の利用上の注意
しかしながら,”SceneManager”はフォルダーの入れ替えを行うだけで,Scenery packs.iniファイルはX-Plane11がスタート時に作成します。
そのため定義順については,各シーナリーのフォルダー名が重要になるので注意が必要です。
利用前の準備
シーナリーの分類
“SceneManager”を利用する前の準備で一番重要なのが,Custom Sceneryフォルダー内にあるフォルダーを,別のフォルダーに分類して移すことです。
“SceneManager”がフォルダー単位で有効・無効を切り替えるため,ライブラリー,空港シーナリー,オブジェクトシーナリー,フォトシーナリー,メッシュシーナリーといった分類や,国別でフォルダーに分ける必要があります。
初期Custom Sceneryフォルダーの保管
つぎに,X-Plane11をインストールした直後の状態のCustom Sceneryフォルダーをつくって“Custom Scenery – pure”というような別名で保管しておきましょう。
これは,”SceneManager”がいうことを聞かなくなったとき,リセットするために使います。
“SceneManager”のスタート
ダウンロードしたzipファイルを展開します。
“SceneManager”のフォルダーは,“Program folder”以外の場所に置いてください。
中にある”SceneManager.exe”のショートカットをデスクトップに作るか,スタートメニューに登録します。
“SceneManager”を動かすには,管理者権限は不要です。
ここまでの準備が整ったら,”SceneManager”をスタートします。
“Add an X-Plane directory“をクリックして,自分が使っているX-Plane11のフォルダーを登録します。
Custom Sceneryフォルダーは,X-Plane11をインストールした直後の状態になっているはずですから,次のような画面が表示されます。
“Not handled sceneries”の中を開くと,はいっているものはX-Plane11をインストールした直後のフォルダーだけになっているはずです。
なおこの状態になっていないと,あとから登録解除の作業をするのが結構大変です。
カスタムシーナリーフォルダーの準備
X-Plane11のカスタムシーナリーを使うことに慣れておられる方なら,Scenery packs.iniファイルの定義順によって,表示されなくなったりすることを経験されていると思います。
シーナリーフォルダーの準備をせずに”SceneManager”にシーナリーフォルダーを登録すると,日本の空港の場合,デフォルトシーナリーが表示されてしまいます。
その理由は,X-Plane11が”SceneryManager”が登録するフォルダーをWindowsのキャラクターコード順に並べ替えてScenery packs.iniファイルに登録してしまうからです。
つまり,”Japan”とか”RJTT”という名前のフォルダーは,先頭キャラクターコードの”J”や”R”が”G”の後になるので,”Global Airports”フォルダーの下位に定義されてしまうためデフォルトシーナリーが表示されてしまうといわけです。
カスタムシーナリーフォルダの名前の調整
そこでこれを防ぐためには,”Global Airports“フォルダーよりキャラクターコード順が若い”A0_“などのキャラクターをフォルダー名の先頭に付ける必要があります。
ちなみに私が選んだ”A0_”は,Airport,Airbase,Airfield,Airstripのすべての先頭にAがついていることとシーナリーが複数フォルダーからなるものがあるという理由から選びました。
フォルダー名を一括して変更するには,”SmartRename“というアドオンが便利です。
使い方は以下のページがよくわかります。

複数のデータからなるカスタムシーナリーの名前の調整
2つ以上のフォルダーから構成されていて,その順番を指定しているベイルートなどのシーナリーがあります。
このようなときには,フォルダー名の先頭に“A1_”から”A9_”といった名前にすることで,並び順を調整できます。
シーナリーの登録
シーナリーグループの作成
グループの登録は,”Group”の枠内にある”New group at root“と”New child group“を使います。
例えば”New group at root”で”Japan”を,”New child group”で,”Airport”,”Object”,”Ortho4XP”といったグループを作ります。
私の分類の例をご紹介します。
私は初期状態から,ライブラリー,国別フォルダーを作りました。
国別グループ”Japan”の下に,”Airport”,”Miniphoto”,”Object”,”Ortho4XP”という具合です。
“Bahama”は,”Airport”と”Ortho4XP”だけです。
あと,フォトシーナリーのオーバーレイを収容する”yOrtho4XP”というグループを作りました。
ライブラリーフォルダーの登録
“SceneManager”に作ったライブラリーグループにライブラリーフォルダーを登録するには”Add orphan sceneries“(独立したフォルダーの登録)を使います。
ライブラリーフォルダーは,その名前を変更することはできませんが,Scenery packs.iniのどの位置にあっても参照に不都合がありません。
なおフォトシーナリーの道路を透明化する”Xroads”ライブラリーは,作成し直すことが多いので安全面を考慮してリンクではなく直接Custom Sceneryフォルダー内に残しています。
なお”Xroads”ライブラリーは,先頭文字のコード順により”yOrtho4XP_Overlays”よりも上に定義されるので,動作に問題はありません。
シーナリーフォルダーの登録
“SceneManager”に作ったライブラリー以外のグループにフォルダーを登録するには”Add some sceneries“(いろいろなフォルダーの登録)を使います。
カスタムVFRオブジェクトシーナリーフォルダーの名前
“Japan Tokyo”などのライブラリーになっていないVFRオブジェクトシーナリーフォルダーを使う時には,先頭に”V0_“から”V9_“の文字列を加えておきます。
そうすれば,空港シーナリーフォルダーよりも下位で,フォトシーナリーよりも上位に置かれます。
フォトシーナリーフォルダーの名前
Ortho4XPデータは,”zOrtho4XP”で始まっているので,シーナリーの後方に登録されます。
また自前で作ったフォトシーナリーは,”z”を先頭に付けておく必要があります。
メッシュシーナリーフォルダーの名前
UHDや自前で調整したメッシュフォルダーには,”zzz”がフォルダー名の先頭にある必要があります。
メッシュシーナリーは,フォトシーナリーの下位に置かれるのでこの命名は必須です。
w2xpデータとx-prefabシーナリー
VFRシーナリーの一つであるこれらのデータは,先頭文字が”w”と”x”であるため,フォトシーナリーの”z”よりも前でしかも”Ax_”シーナリーデータの後に置かれるので,フォルダー名変更の必要はありません。
パッチデータや修正データの名前変更
空港データを修正するパッチデータフォルダーには,”A0_”よりも上位に置く必要があるため,フォルダー名の先頭に”000″を付けておきましょう。
また”Global Airport”より下位に置かなけばならない“Repair_Japan”は“Global_Repair_Japan”とフォルダー名を変えます。
商用パッケージの取扱い
Orbxのパッケージは,独自の管理を行います。
そのため”SceneManager”の登録対象外として,直接Custom Sceneryフォルダーにインストールして管理するのが安全です。
“SceneManager”で管理するには,シーナリーを”Orbx Central”が作る”Orbx Library”フォルダー(通常はDocumentsフォルダー内)にインストールしてそのフォルダーを登録することで可能になります。
このときシーナリーフォルダーの名前を変更してはいけません。
そのほかの会社のパッケージについては,私が持っていないので確認できないことをお断りしておきます。
グループへのシーナリーフォルダー登録
ここまでの準備が整えば,あとはフォルダーを順次登録していくだけです。
そしてそれぞれのグループに,準備していた各シーナリーフォルダーを”Add some sceneries”で登録していきます。
各フォルダーの有効無効の切替
フォルダーの有効化
それぞれのグループをクリックして”Activate Sceneries of the group“をクリックすれば有効化できます。
“root”グループを有効化すると”child group”も有効化されます。
フォルダーの無効化
無効化したいグループを選び”Deactivate Sceneries of the group“をクリックして無効化します。
シーナリーを切り替えたいときによく使う機能です。
一括で有効化していると,切り替えるはずのライブラリーやシーナリーも有効化されているので,チェックして無効化しておきましょう。
フォルダーの登録解除と削除
使わなくなったフォルダーの削除の順番は,まず削除したいフォルダーを”Deactivate Sceneries of the group”をクリックして無効化します。
そしてフォルダーを右クリックして”Remove the scenery”を行い,最後にフォルダーを削除します。
この順番を誤ると,無効なリンクが残ったりしますので注意しましょう。
“SceneManager”とScenery packs.iniファイルの初期化
どうにもならなくなったら,”SceneManager”の”Remove the selected version”をクリックして,X-Plane11フォルダーを解除します。
つぎにX-Plane11フォルダー内の”Custom Scenery”フォルダーを削除し,一番最初に作った”Custom Scenery – pure”をコピー後”Custom Scenery”と名前を変えます。
そして最後に”SceneManager”を登録したフォルダー内にある”SceneManager.ini”ファイルを削除します。
これで初期化が終了しますから,最初からやり直しましょう。
Scenery packs.iniファイルの作成と”SceneManager”の終了
フォルダーの登録と有効・無効を切り替えた時点で,Custom Sceneryフォルダー内にリンクが反映されています。
フォルダーの入替作業が終わったら,X-Plane11をスタートします。
“Delete scenery_packs.ini”のチェックボックスのチェックを入れて”Run X-Plane”をクリックすると,X-Plane11のCustom Sceneryフォルダー内にあるScenery packs.iniファイルが削除されたあと,X-Plane11がスタートしますが,”SceneManager”は終了しません。
X-Plane11をスタートする前に,Scenery packs.iniファイルをリセットしたいときに使う機能です。
“Run X-Plane and exit”をクリックすると,X-Plane11のCustom Sceneryフォルダー内にあるScenery packs.iniファイルが削除されたあと,X-Plane11がスタートし”SceneManager”は終了します。
“Exit”をクリックすると”SceneManager”が終了しますが,Scenery packs.iniファイルは削除されません。
できあがったScenery packs.iniファイルの内容です。
うまく並んでいます。
まとめ
“SceneManager”と3日間格闘して,元のX-Plane11環境を復元できました。
フリーウェアなのに,ここまでシーナリーの切替が簡単にできるとは,恐ろしいものだと思います。
私は,このアプリのおかげでフォルダー名とシーナリー定義の並び順,そしてライブラリーについての認識を新たにしました。
そして普段使うX-Plane11環境に登録するシーナリーを頻繁に入れ替えても,Scenery packs.iniファイルの編集が不要になったので本当に楽になりました。
なお,このようなダイナミックな環境の切替については,シーナリー作成用の環境においてはどのフォルダーを操作しているのか判らなくなるので,私は使わない方が良いと考えています。
Enjoy Flight!
この記事で紹介しているアプリは,次の製品のオンラインバージョンアップ版11.51で動作確認しています。
コメント
”SceneManager”これは、便利なようですね。
当方は初心者なので、2台のパソコンのHDDごとに、X-Plane11システムを各3組作っていますので、失敗しても相互に影響はないのですが、お互いどこを細工したのかわからなくなってしまいます(HDDも無駄が多い)。とりあえずScenery packs.iniファイルで区別していますが、無駄が多い。
是非勉強して活用できるよう挑戦したいと思います。よい情報をありがとうございました。