フォトシーナリーは,地上を写実的に表現する手法としては優れています。季節によって地表の色や木々を変化させるライブラリーがあるので,フォトシーナリーは雪の降らない地域限定にしようと考えていました。カナダのシーナリーを調べているとき,テクスチャーを雪景色に変更できるツールを知りました。シェアウェアですが,機能限定の無料版もあります。フォトシーナリーを空港周辺だけに使うことで夏冬の変化を表現できると考え,このツールを紹介いたします。
夏のフォトシーナリーデータを雪景色に変換するツール
フォトシーナリーの制限とそれを解決するツール
フォトシーナリーは,地上を写実的に表現する手法としては優れています。
私は,X-Plane11には季節によって地表の色や木々の色を変化させるライブラリーがあるので,フォトシーナリーは雪の降らない地域限定にしようと考えていました。
偶然ですがカナダのシーナリーを調べているとき,テクスチャーを雪景色に変更できるツールがあることを知りました。
これを使ってフォトシーナリーを雪景色に変更できるとの説明があったので,その機能を調べてみることにしました。
このツールは”Simtiles“というシェアウェアです。
なお,変換できる解像度が固定され変換できるタイルが20に制限されている機能限定のフリー・バージョンも公開されています。
緯度経度各1度の範囲をすべてフォトシーナリーにすると,データ量は2GB以上になってしまいます。
そのため世界中をフォトシーナリーで表現することは現実的ではありません。
フォトシーナリーを空港周辺だけにすれば,データ量も少なくて済みますし,このツールを使って夏冬の変化を表現できます。
寒い国のシーナリーでは,テクスチャーの異なるシーナリーを切り替えて使うという手法で雪景色に変更しているものがありました。
フォトシーナリーを使って季節の風景を表現するには夏と雪景色の2つのデータを用意する必要がありますが,表現を豊かにするための手法のひとつとしてこのツールをご紹介します。
“Simtiles”について
“Simtiles”は,”Simultools“という映像関連の会社が作ったフライトシミュレータ向けのWindowsのツールです。
説明では”X-planeのフォトリアルシーン用の夜間および季節(冬)テクスチャを作成する最初で唯一のソフトウェア”だそうです。
お試し版として”Lite“という機能限定のフリーウェアが公開されています。
そして機能を確認するためのテストデータもあるので,”Simtiles”の機能と効果を確認できるようになっています。
“Simtiles Lite”の導入と効果の確認方法
Liteは機能限定版ですが,ライセンスを購入することで通常版になります。
ダウンロード
ツール本体
“Simtiles Lite”は,”Simultools”の”Download”ページからダウンロードします。
32bit版もあるのですが,画像処理にはメモリーをたくさん使うので64bit版がおすすめになっています。
“Simtiles”を動かすために必要なランタイムライブラリー
“Simtiles”はVisualC++で作られており,動かすためにランタイムライブラリーを導入しておく必要があります。
“Resource“ページのリンクにあるMicrosoftのページからダウンロードします。
通常は64bitバージョンになると思います。
そして日本語版ランタイムで大丈夫です。
補助ツール
またこのページには,ddsファイルビュワーである”Irfanview”と”ddsプラグイン”をダウンロードすることができます。
リンク先には,インストーラー版もあります。
ddsファイルを見るだけなら,動作の重いGimpを使うよりも”Irfanview”が便利です。
テストデータ
またテストデータは,”Photosceneries“ページからダウンロードできます。
ここには,フォトシーナリーページへのリンクもあります。
インストール
“Simtiles”本体
ダウンロードした”simtiles_3.275-64.zip“ファイルを展開すると”simtiles_3.275-64“というフォルダーができます。
このフォルダーをWindowsのプログラムフォルダー以外の場所にコピーします。
つぎにこのフォルダーの中にある“simtiles.exe”のショートカットをスタートメニューかデスクトップに作ります。
“Simtiles”を使うときは,このショートカットをクリックします。
テストデータ
テストデータファイルである”z_test.zip“をX-Plane11のCustom Sceneryフォルダー内に展開します。
X-Plane11を起動後すぐに停止し,Custom Sceneryフォルダー内のScenery packs.iniを編集します。
定義中にある”z_SimTiles_test_zl16“の定義を一番下あたりのメッシュデータの上くらいに移動させます。
定義位置がよくわからない方は,私の過去の記事を参考にしてください。
“Simtiles”の使用方法
英文マニュアルが付属していますが,少しわかりにくいので使い方を簡単に説明します。
Simtilesを起動し,テストデータを使って効果を確認します。
Simtilesを起動するとコマンド画面と操作ウインドウの2つのウインドウが開きます。
動作経過などは,コマンド画面に表示されます。
X-Plane11のフォルダーを指定する
“Preference“タブをクリックし”Main“タブをクリックして表示されるウインドウの中ほどにある”XPLANE root foldar“に自分がX-Plane11を導入しているフォルダーを”Brows”ボタンをクリックして設定します。
変換元のフォトシーナリーフォルダーを指定する
“Create Tiles for Single Scenery“タブをクリックし,”Scenery path“の下の欄にテストデータフォルダーである”z_SimTiles_test_zl16“フォルダーを”Brows”ボタンをクリックして設定します。
雪景色か夜間シーナリーの別を指定する
“Presets“タブをクリックし “In Use“タブをクリックして表示されるページの一番上にある”Output type“の”Seaso“ラジオボタンを黒くします。
夜間データは”Night”をクリックしますが,テストでは確認できないので使いません。
変換ボタンをクリックする
“Create Tiles for Single Scenery“タブをクリックし,”Start/Resume textures creation” ボタンをクリックし,表示されるウインドウで”Yes”をクリックします。
変換が終了するとコマンド画面に表示されます。
下の画面は,雪景色と夜間データを作った時のフォルダー内のものです。
変換データを有効化するボタンをクリックする
念のために”Create Tiles for Single Scenery“タブをクリックし,”Re-Enable Scesonal Tiles” ボタンをクリックします。
テストデータの変換状況を確認する
“Simtiles”を起動したままでX-Plane11を起動して,”LICR“というイタリアの空港の15番滑走路から南に飛行します。
天候の設定で快晴・気温を0度にしておきましょう。
数分の飛行後に正面に白い山が見えてきます。
私は見つけにくかったので,下の画面にマップを表示しておきました。
飛行機を移動させればすぐに見つかると思います。
確認できたらキーボードで”p”を押して一時停止させます。
変換データを無効化するボタンをクリックする
“Simtiles”ウインドウをクリックし,”Create Tiles for Single Scenery“タブをクリックし,”Disable Seasonal tiles“をクリックします。
X-Plane11に戻りトップメニューから”デベロッパー”をクリックし,”シーナリーのリロード“をクリックします。
こうすると,冬のテクスチャーが無効化されたフォトシーナリーを確認できます。
実際のシーナリーでの動作確認
先に導入したロンドンシティ空港の周辺のフォトシーナリーを有効化して,季節を冬に設定しました。
フォトシーナリーのない遠方は白くなっていますが,空港は緑のままです。
“Simtiles”でエリアの冬データを作った後に,表示してみたのが次の画面です。
見事に雪景色になっています。
有効化/無効化の切替はX-Plane11動作中でも可能です。
なお,Liteでデータを作成したので20タイルごとに”Simtiles”を再起動して変換しました。
処理時間は,850余のタイルを変換するのに2時間弱かかりました。
ライセンス登録すれば,制限はなくなり複数のシーナリーフォルダーの有効・無効化を一括処理できます。
まとめ
このツールの有効性は確認できたので,フォトシーナリーを無視するのではなく,どう使っていくかを判断できるようになりました。
フォトシーナリーを使った空港のデータを変換するだけなら,Liteを使い夏/冬2つのシーナリーを作って”Scenery packs.ini”で有効化・無効化の切替をするだけで十分だと思います。
個人使用に限定したシェアウェア料金は$34.95ですので,フォトシーナリーを多用する方でディスク容量に不安のない方は有償版の導入を検討されてはいかがでしょうか。
Enjoy, Flight!
この記事のツールは,次の製品のオンラインバージョンアップ版11.41で動作確認をしました。
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