X-Plane11は結構頻繁にバージョンアップします。そしてバージョンアップやシーナリーやプラグインの導入時には思わぬ不具合が生じるので,導入前に環境をバックアップすることは必須です。けれども不具合が生じたとき,X-Plane11のCustom Sceneryフォルダーのコピーだけでも10GB以上もあるので時間がかかります。そこでFS2004を参考に複数環境作成を試み,テスト環境も驚くほど簡単に作れることがわかったので報告します。
ひとつのコンピューター上に複数のX-Plane11をインストールする方法
タイトルを大げさにしてしまいましたが,内容は単純です。
方法を説明する前に,これを思いついたきっかけをお話しします。
X-Plane11の36r2から40r2へのバージョンアップの時Japan proライブラリーが機能しなくなりました。
シーナリーフォルダーのコピーをし直したり,Japan proライブラリーの再インストールをしましたが直りませんでした。
しかたなく,36r2に環境を戻そうとしてフォルダーコピーの前に,バックアップフォルダーから起動するかダメ元で試したところ問題なく起動しました。
バックアップフォルダーは保存用の遅いHDD上に置いていました。
そこで,バックアップフォルダーを11.40のフォルダーのあるSSD上にコピーして起動するとディスクが異なるにもかかわらず問題なく動いたのです。
FS2004の時にはテストできるシンプルな環境を用意したので,X-Plane11でも機能を制限したテスト環境を用意しておけばシーナリーのテストも簡単にできると考えました。
テスト環境を作るのであれば,X-Plane11を再インストールしてできあがったフォルダーを利用するのが簡単です。
複数起動環境を作る具体的作業
複数環境の構築方法
では,複数環境を作成する具体的な作業内容を説明します。
作業といっても,X-Plane11のフォルダーコピーだけなのです。
私の場合は,とりあえず11.36r2の環境と11.40r2の二つの環境を作ることにしました。
Japan proライブラリーが動かなくなった11.40r2の環境をそのままにして,バックアップしていた11.36r2の環境をSSD上にコピーしました。
そのときのフォルダー名は,”XP_11.36r2_Japan20191026″でした。
命名の理由は,11.36r2の環境から余計なシーナリーを削除した日本の国内環境だけに絞ったためです。”20191026″はバックアップした日付を期したものです。
環境を絞ってJapan proライブラリーの定義位置をいろいろ変化させてみようと考えたのです。
使わないシーナリーパーツを削除した結果,Scenery packs.iniの定義の中で”Grobal scenery”の真下に偶然”Japan pro”ライブラリーが来ることになりました。
この状態で11.36r2では問題なく機能したので,11.40r2の環境で試したところ,機能復活したという棚ぼたになった訳です。
このことから,あらためてテスト環境の重要性を認めることになりました。
FS2004とX-Plane11では稼働環境データの保管方法が大きく異なります。
FS2004では,個人フォルダー内にある特別なフォルダーに保存されます。
そのときのデータは,起動したバイナリーファイルの名前に依存しています。
X-Plane11は,LinuxやMacOSX,そしてWindowsで共通して動くように設計されています。
そのため,環境や設定はX-Plane11を導入したフォルダー内にある機能ごとに異なる名前のテキストファイルで保管されます。
シーナリーの場合は,よく使う”Scenery packs.ini“になります。
そういうわけでX-Plane11をインストールしたフォルダー名さえ異なれば,コピーするだけで複数の環境を用意できるというわけです。
起動する環境を迷わないように,X-Plane11.exeファイルのショートカットを作り,名前を変えてデスクトップに置いておけば便利です。
X-Plane11は起動時にWebに新しいバージョンがあれば,インストールするかどうかを聞いてきます。
前のバージョンを残す時には”無視“をクリックして起動します。
こうすれば,前のバージョンを残したまま新しい環境も使えるわけです。
ディスク容量の節約方法
ひとつのフォルダー内に2つ以上のX-Plane11フォルダーを置くとき,フォルダーの名前さえ異なっていれば複数の環境を同時に作ることができることがわかりました。
複数の環境ができることがわかれば,課題は複数環境の間で重複している大容量のファイルの扱いです。
これをX-Plane11のリンク機能を使うことで解決します。
このことを思いついたきっかけは,新しいシーナリーを導入した時に極端に起動時間が遅くなり,その原因を調べたことです。
フライトを開始したとき,CPUはほとんど動かないのに本体メモリーの利用率だけが高くなる”メモリースワップ”が発生する現象を観察できたからです。
あるライブラリー導入時の起動プロセスを観察していてX-Plane11はフライトを始めるとき複数のシーナリーデータを読み込み,メモリー上に表示するシーナリーを作り上げ,VRAMに送っているのではないかと考えました。
もしそうなら,ディスクのどこかにシーナリーパーツがひとつあれば共通で使えることになります。
高速なSSDならCustom Sceneryフォルダー内になくても問題は生じません。
具体的には,共通するフォルダー群をひとまとめにフォルダー内に収納しリンクを作成します。
そのリンクをCustom Sceneryフォルダー内にコピーすれば,一つのシーナリーフォルダーを共通して使えるようにできます。
通常は2つの環境を同時に起動するとは考えにくいので,数GBにも達する大きなシーナリーパーツをこの方法で使えば,SSD容量の節約になります。
まとめ
ヨーロッパのVFRシーナリーパーツのページを見ているときに,シンプルなシーナリー環境を定義したScenery packs.iniを見ました。
世界各地のVFR環境を体験したいのに,こんな単純にしていいのだろうかと疑問に思っていました。
割と簡単に環境を複製することができるなら,シーナリー管理も単純化できるのでいつも使う環境を優先的に構築していたということなのだろうと考えました。
私の場合なら,日本国内用,スペイン用,ニュージーランド用といった区分けになるのでしょうか。
大きなシーナリーパーツを共有できるのであれば,一つのX-Plane11環境は20GBあれば大丈夫のようです。
最近かなり安くなった1TBのSSDなら余裕で収納できますね。
この記事は,次の製品のオンラインバージョンアップ版11.36r2と11.40r2で動作確認をしています。
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