X-Plane11には,詳細な30mメッシュ地形データが提供されています。フリーウェアによる東京や大阪の大都市シーナリーも公開され,Japan proライブラリーによって新幹線や東京スカイツリーも表示できるようになりました。けれども地方都市においてはまだまだVFRの目標となるランドマークが不足しています。これを補うデータがあるのでご紹介します。
日本の詳細な建物データをX-Plane11に導入する方法(その1)
“w2xp_Asia”を使って日本国内の建物表現を充実させる
X-Plane11には,詳細な30mメッシュ地形データが提供されています。
また,東京や大阪の大都市ではフリーウェアでビルディングのデータも公開されています。
さらにJapan proライブラリーを使ってスカイツリーや新幹線も表示することができます。
このままでも十分実用的なのですが,地方都市でVFRで特徴のある建物を探しながら飛行する場合には,それなりの建物の表現が望ましいのです。
X-Planeには,フリーの地図データからX-Planeのための建物のオブジェクトを作成する”Word2XPlane“というツールがあります。
またこのツールを使って作られた,世界各地のデータも公開されています。
今回いろいろ試してみて,私の厳しいPCインフラ上でも快適に飛行できる環境をつくることができました。
日本国内だけに限定した環境作りの説明は長くなるので,三回に分けて行います。
今回は,日本国内用のW2XPデータの元データになる”Word2XPlane“を使って作られた”w2xp_Asia“の導入について説明します。
建物オブジェクトを表示するW2XPデータ
”W2XP”をネット検索すれば,使い方などの記事を読むことができます。
私は,W2XPで作られた国外のデータでFPRを低下させた経験があり,日本国内への導入にはためらいがありました。
Japan proの公開やOpenSceneryXの改良により,W2XPデータを使っても場所によっては大きくFPSを低下させることがないことがわかったので利用することにしました。
“w2xp_Asia”を導入する
日本を含む地域のW2XPで作られたVFRデータは,”simheaven.com“というページの中にある”w2xp sceneries XP10“というページの中にあります。
X-Plane.orgには,このダウンロードページに直接行くための記事があります。
リンクをクリックすると”simheaven.com“のダウンロードページにいくことができます。
ダウンロードとインストール
ダウンロード
データは,X-Plane.orgのリンクで表示される”simheaven.com“のページからダウンロードします。
表示されたページの右側にある小さなスクロールウインドウに”w2xp_Asia.7z“を表示させて下にある黄色いダウンロードボタンをクリックします。
データが大きいので,ダウンロードに少し時間がかかります。
つぎに必要なライブラリーをダウンロードします。
必要なものはつぎのとおりです。
R2 Library
FF Library
world-models library
いずれも国内の空港を表示するときに使ったライブラリーですから,すでに導入済みかもしれません。
まだの方は,ページ内にリンクがあるのでそこからダウンロードして導入しておいてください。
インストール
“w2xp_Asia.7z“ファイルのダウンロードが終わったら,データを収納する別ディスクに展開します。
“.7z“ファイルの展開ツールは,つぎのリンクからダウンロードできます。
この”w2xp_Asia.7z“を展開すると,約1.5GBの”w2xp_Asia“フォルダーができます。
PCインフラに余裕があるならば,この”w2xp_Asia”の導入だけで日本国内の建物データを問題なく使うことができます。
私は,X-Plane11を導入しているディスクに余裕がないので,別ディスクに導入することにしました。
展開し終わったら,フォルダーを右クリックしてショートカットを作成し,できあがったショートカットをX-Plane11のCustom Sceneryフォルダー内にコピーします。
ショートカットの名前を”w2xp_Asia”に変更して,X-Plane11を起動後いったん終了します。
終了したら,”Custom Scenery”フォルダーを開き,Scenery packs.iniをメモ帳かエディターで開いて”w2xp_Asia”の定義位置を次の画面のように編集します。
“Japan pro”を”w2xp_Asia”よりも表示優先する位置にします。
なおこの“Japan pro”はFPS低下を防ぐpbook版のバージョンです。
上書き保存したら,導入作業は終了です。
“Word2XPlane“のドキュメントの中にScenery packs.iniでの優先順位の定義についての説明がありますので引用しておきます。
scenery_pack.iniの優先順位はどうしますか?
上から下への ‘scenery_packs.ini’( ‘custom scenery’フォルダにあります)の順序、つまり優先順位は次のとおりです(ローカルからグローバルへ)。
独自の空港とカスタム空港
元の空港
(Aerosoft…、Global Airports…)
追加の地域シーナリー
(VFRオブジェクトのようなVFRアドオン、…)
X-EUROPE(取り付けられている場合)
大陸のw2xpシーナリー(インストールされている場合)
(ヨーロッパ以外の地域、例えばVFR- ランドマーク、VFR-アンテナ、森林…)
ライブラリ
(OpenSceneryX…)
オーバーレイフォトシーナリー(インストールされている場合)(yOrtho4XP_Ortho4XPシーンを使用している場合はオーバーレイ)
フォトシーナリー(インストールされている場合)(G2XPL Ortho4XPで生成された…)
メッシュファイル(インストールされている場合)
(HD Scenery Mesh v4)
HDシーンファイルには独自のメッシュがあり、標準のx平面dsfまたはhd風景メッシュから派生しているため、HDメッシュファイルはこの地域でアクティブな写真風景がない場合にのみ機能します。
X-Plane11での表示
導入したら,X-Plane11を起動して建物の配置を知っているお好みの町を表示してみましょう。
私の場合は,もちろん広島市です。
広島市中区紙屋町の県庁や広島そごうビルや広島駅近くのマツダスタジアムも表示されました。
しかも,四季のデータを反映させれば紅葉や雪景色の町も表示できます。
羽田空港から東京都区内を3jFPSでMAX QUALで表示させた場合には,多くのビル群が表示されますがFPSが15程度に低下します。
AUTOなら30で飛行できますから,ここはすこし我慢しましょう。
また先に私がご紹介した東京市街地と大阪・京都市街地のシーナリーは,とりあえず削除せずにそのままにしておきましょう。
オリジナルJapan proのFPS向上
今回W2XPを導入したときに,建物オブジェクトの表示に関係するJapan proの表示テストを行いました。
私がライブラリーの定義を変更したものとオリジナルでFPSを比較したところ,オリジナルのJapan proで生じていたFPS低下がなくなりました。
但し,これは“Japan pro”の優先順位を”w2xp_Asia”よりも下げた場合にだけ得られる効果です。
Japan proが公開されてからOpenSceneryXのバージョンアップが何度もありました。
それもFPS低下がなくなった原因かもしれません。
また,W2XPで多くの建物オブジェクトが定義されたことで,Japan proで作成される重いAutogenオブジェクトが表示されなくなったことも原因のひとつではないかと,私は考えています。
これは,思いがけない効果なのでありがたいと思います。
まとめ
W2XPデータの導入で,またひとつVFR環境が整いました。
広島市内に限っていえば,建物をランドマークにして飛行できるようになりました。
私は,広島市以外の市街地についてはどんな建物があるのか詳しくないので説明はできません。
きっと他の町でも同じように改善されているものと思います。
さて,このアジア全体のデータを別ディスクに導入したままでは,X-Plane11の起動時間が長くなってしまいます。
そこで,日本国内のデータだけをX-Plane11のCustom Sceneryフォルダーに導入することにします。
この方法と作業手順を次の(その2)で説明します。
また,表示してほしくない場所に建物やあり得ない構造物が表示されることがあります。
これについては,(その3)で修正方法を説明いたします。
Enjoy, Flight!
この記事は,次の製品のオンラインバージョンアップ版11.36r2で表示確認をしています。
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